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2014年3月10日月曜日

しめ鯖の可能性の研究 (2)

今回もしめ鯖の可能性を追求していきたいと思います。

前回は〆る時に使用する「酢」の可能性を探ってきたので、今回は最初にあてる塩に着目していきたいと思います。


そもそもなぜ塩をあてるの?と言う疑問がきこえてきそうなので本題に入る前に軽く説明しておきます。まず塩には脱水効果があるんです、これは浸透圧を利用したもので、塩分濃度が薄い方から多い方へと均等になるように働く水分の性能を利用したものなんです。

魚から水分が抜かれることで、魚のもつ生臭みを取り除いたり、身がしまったりして食べた時においしいと思えるような食感に調整したりしているんですよ。

鯖の場合(青魚一般)は特に独特の血のにおいが、生で食べた時に特有の生臭さにつながるのでしっかり塩をしてあげるとよろしいです。後、しめ鯖の場合は味にも塩加減がかかわってきます。塩が足りないと酢で〆た時に味の輪郭がぼやけて美味しくありませんので、それは鯖の脂のノリ具合、身の厚みと要相談と言うことで・・・


さて本題、今回は塩の種類での味の変化を見ていきます。

今回用意したのが


A、塩にビタミンCを添加したもの
※ビタミンCとの化学反応を期待して


B、岩塩
※岩塩に含まれるミネラルが味にどんな影響を与えるか


C、瀬戸内海の塩
※山陰地方の鯖なので、故郷の塩と言う感じで


D、塩と砂糖
※甘味を足すと味がどう変化するか



今回は砂糖の浸透圧と塩の浸透圧の違いは無視して、塩の成分による味の違いを見ていきたいと思います。

やってみての結果といたしまして、色の変化から見るとAの鯖が色が黒くなっており、Cの鯖が一番色が落ち着いているように思えました。
考察としてAの鯖はビタミンC=酸の影響で色が変色したと考えられる。味の点はAが一番酸味がたっているように感じ、果実の酸味もにおいも一番強いように思えた。Bの岩塩は普通の塩(一般的な食塩)と比べほぼ変わりはない。
Cの瀬戸内海の塩が4種類の中で一番味が良いように思えた、若干最後の塩がきついかなとおもわせる後味だったが・・・
Dは砂糖入り、これも普通の塩と大差はない。砂糖を使用するなら浸透圧を計算して砂糖→塩の順番でつけた方がよさそうだな。と言うのが今回の結果。

※上から順番にA→B→C→D

まとめると、あたりまえだが塩の種類によって味や後味は変わる。
ここらへんは好みにもよるかも知れない。〆具合や色の変化はAの色を除いてあまり大差はない。結果は旨い塩でつければ旨い。この旨い塩を見つけるのが難しいのだけど・・・


先日とある雑誌で「クリスマス島の塩」なるものを紹介している記事を読んでいると、その塩は甘味を含んでおり、角がない、口当たりのやさしい塩でめちゃくちゃ美味しいと書かれており、それで作るしめ鯖は塩の角がたってなく、砂糖を入れなくても甘味がほのかにあり最高とかかれていました。今回試した瀬戸内海の塩は味はよかったのですが最後の塩辛さが気になったので、もしかした・・・いつか試してみたい素材です。

今回はここまでで、次は塩の浸透時間と酢でしめるという行為にメスをいれていきたいと思います。

2014年3月3日月曜日

しめ鯖の可能性の研究

今回は新しいしめ鯖のおいしさを探ると言った内容です。

一般的にやられてる方法は、鯖を三枚におろしてから、塩で身をしめてから、酢で〆る、とても単純な作業なのですが単純だからこそとことん追求しなければなりません。


それで今回はまず酢に着目して実験を行ってみました。前にブログで紹介した「みかんブリ」と「リモネン」の関係性でかんきつ類に含まれている成分がにおいを消すと言う効果を試してみようと思います。

今回対象にする鯖は魚津(富山)の700g~800gのサイズ、これはこの時期の近海物の鯖の可能性を調べる目的(2月18日時点)を含めてのものです。

6匹の鯖を使用し、三枚におろした片身ずつ酢の使用を変え、全12パターンの酢を試しました。


処理としておろしてからべた塩(まんべんなく塩をべったりつけること)で1時間。

酢は身の方から30分、裏返して皮目の方を30分つけました。

なお、今回は初めに骨を抜いてから処理を行いました。


(使用する酢のパターン)

A、米酢 200ml 、 砂糖 30g 、 オレンジ 1/4

(果物類を果汁を絞って、皮の部分を細かく刻んみました)

狙い、リモネン含有量ナンバー1のオレンジを入れることでの味、色、においの変化をみる


B、米酢 200ml 、 砂糖 30g 、 レモン 1/3

狙い、レモンを入れることでの味、色、においの変化をみる


C、醸造酢 200ml 、 砂糖 30g 、 オレンジ 1/4

狙い、Aと比べ米酢と醸造酢の違いをみる


D、梅酢(甘味入り) 200ml

狙い、梅酢を使用した場合の味、色、においの変化をみる


このほかにも。ゆずやグレープフルーツ、リンゴ酢やバルサミコ酢を試したのですが、あまり良い結果が出なかったため、今回は割愛させていただきます。

それでは結果報告です。

まず、米酢と醸造酢の違いについてわかったことは、醸造酢の方が食味が軽いということ、酢のききがやわらかいと言う意味ではなく、食べた後の口に残る感じが軽い。米酢はコクのある感じ。食べてみると醸造酢の方が合っている感じはする。


果実を入れることでの、味、色、においの変化についてだが、色の点ではレモンが一番効果が高かった。後の果実類は横ばい、味は個人の好みにもよるが、ゆず、グレープフルーツ、レモンはその果実特有の味やにおいが強く感じられた。

梅酢を使ったものも色の点では良い結果をもたらせてくれた。

今回の実験結果をまとめると、醸造酢と梅酢をベースにオレンジ(匂い消し)とレモン(変色を防ぐ)を細かく刻んだものを入れるのが良いと言う結果になった。


次回はこの酢をベースにして、塩の成分による違いと、塩の浸透時間での違いを調べてみたいと思う。

それでは今回はこのへんで・・・


2014年2月25日火曜日

きんき、のど黒、金目鯛 (4)

今回は金目鯛の刺身の件から感想を述べていきます。

金目鯛は高知の2キロオーバーのものを使用しています。こちらもきんき同様、バーナーで炙って焼き霜としました。きんきは脂がのっていて淡白なのですが、金目鯛は脂がのっていて旨い。そう感じました。


一口目のインパクトもガツーン!ときますし、食べ進めていて身の旨さもちゃんと口に広がっていく、ここがきんきと違うポイントです。なお臭みも嫌な後味もなく最高。

二日目、三日目と食べすすんでみても、寝かせることでの味の変化は少ないように思えました、ただ寝かせることで身の中の脂が落ち着いてきたかな、と言った印象です。きんきもこの点味の変化が少なかった、このことからきんきやのど黒、金目鯛というのは、寝かせることで身の旨さを楽しむものでなく、その魚がかかえている出汁のような水分や、上質な油分、そして身の繊細な感じ、そういったものを楽しむ魚なのかもしれない。

お次は焼き物の場合。



焼き物はのど黒、きんきと違い、皮がそこそこ強かったため、皮、脂、身の良さを味わえる旨いものでした。魚の焼き物で皮は非常に重要な旨さのポイント、しっかり焼き切ってあげると、香り、食感のアクセントが口を楽しくしてくれます。


金目鯛は旨い、旨すぎるといった感想、旨すぎるものは大味につながりやすいが、この金目鯛は嫌なところがまったくもってない。最高の魚だと思っていた。しかし友人(神戸ミシュラン2つ星獲得店勤務)いわく、高知の金目鯛は旨いのだけれど、千葉で獲れる金目鯛は、高知のものに比べ脂の質が上品で、より上等のものらしい。

この話をきいた時魯山人の話を思い出した。


魯山人曰く「食べて旨すぎるものは一等品にはなりえない」と言うことをどこかの著書でかかれていました。

なるほど、高知のはたしかに旨い、旨すぎた、この旨すぎるというのにも限度があるものなのか?まだ千葉のものは試せていないので、機会さえあれば是非食べ比べてみたいと思っています。

上の画像は皮目をバーナーで炙ったものを煮つけたものです、従来の煮付けに香ばしさを足してみました。味は濃い目の甘辛い味付けで・・・やはり煮付けにする場合は魚のアラの部分(骨や皮)がなければ旨みが乏しいなと感じました。これはこれでうまいのですが最高とまではいかなかった。

それでは今回はこのへんでおいとまさせてもらいます。

2014年2月19日水曜日

「みかんブリ」と「リモネン」の関係性

北陸の人たちにはなじみが深い魚「ブリ」、天然ものは10キロオーバーからブリと言います、それ以下はガンド、フクラギ、コゾクラ、モジャコと言われる。でかくなるにつれて呼び名がかわるのを出世魚といいます。



これは能登島でとれた12キロオーバーのブリ、昨年の正月に買ったものです。脂がのって旨いのはブリの中でも12キロオーバーのもの、脂の量、質ともに最高クラス、それ以下には興味がありません。

ブリに限らずどんな魚にも言えることですが、天然に勝るものなし、近頃は養殖のブリが多くでまわっていますが、嫌に脂が多量にあってしつこく、脂の質から言えば天然ものに比べ一段も二段も下がるそういった印象です。

なぜこんなに脂があるかといいますと、養殖の際のエサが原因になっているためです。養殖ものの大半はイワシをエサに育てています、イワシは脂を多く含んだ魚、しかも養殖場という快適な環境で何の競争もなくエサにありつける。言うなればただの肥満体のブリなのです。

しかし最近では養殖技術も進歩しエサを独自にやった養殖のブランドブリがいます。


それが今回の「みかんブリ」です。

みかんの味がするブリ?と思われる方もいるかもしれませんが、ご安心をエサがイワシでなくみかんと言うだけで、味はブリそのものです。

なぜエサにみかんをあげるのかと言うと、みかんの皮に含まれるある成分の効果を期待してのものです。その成分というのが「リモネン」なのです。


このリモネンと言うのはにおいを消すのにすごく効果的な成分なのです。おもにかんきつ類の皮に多く含まれています。

このリモネンをブリに加える(食べさせる)ことで中からにおいを改善しよう、そういった狙いがあるためです。

このリモネン、かんきつ類ではオレンジの皮に多く含まれ、その次にライム、ゆずと続きます。この成分は皮に多く含まれ、身の方にはあまり含まれてませんので注意してください。

このリモネンを上手く活用できれば、ブリだけではなく、アジやサバなどのほかの青魚でも応用ができると思います。


これはまだ可能性の話なので研究して結果がでましたら皆様にご報告いたします。

これとは別の話なのですが、青魚独特の臭みは血から出てくるもの、ですので活魚の状態から上手く血抜きさえ行えれば、そもそもいいのではないか。とも思っています。

まぁあくまで可能性の話です。もし生きた青魚が手に入ってみたなら試したいと思います。

それでは今回はこのへんで・・・

2014年2月17日月曜日

きんき、のど黒、金目鯛 (3)

今回も前回の続きからです。

のど黒を焼いたみた感想を述べていきたいと思います。

まずは五島列島のもの・・・


注、この写真のものは対馬のものです。

脂の質が軽く、いやな感じがまったくない、焼き物にすると最高クラスに旨い。食感は中の水分(ジュース)がえらいことに、噛んだ瞬間じゅわーと言う感じ。すごいポテンシャルだな。今回は上身に直接塩をふった、塩は少々きつめにうった、経験談だが素材が良いものは塩をきつめに攻めた方が旨い、素材の持ち味が塩に負けないためだと思われむしろ旨さを引き出してくれる。

今回もその例にもれずきつめにうったつもりだったのだが、塩があまりのらなかった、というよりは身の脂がすごすぎて塩がはいっていかなかったと言う感じ、このことから基本的に脂がのった魚は中まで塩がまわっていかない事がわかった。

脂がのった魚は塩をうって、一夜干しにした方が中まで塩がまわり適度に水分もぬけ旨みが凝縮されそうだなと言う感じ。まだ試してないのでなんとも言えないが日本の干物文化はあなどれません。


次は対馬のもの、対馬のものは五島列島にくらべると、脂はにおいはないが、しつこい感じをうけた。こちらも塩を強めにふったが中まではいっていかなかった。五島列島のものの方が上品で良いと思われる。ここで発見したのはのど黒は骨まで旨いという事、食べ終わった骨を炭火でカリカリにやいて醤油をたらして骨せんべいにして食べてみた、意外や意外、なかなかに旨いものであった。

最後に和歌山のもの、これは脂ノリが弱く、身のキメもあらい、のど黒の良さがあまり感じない。残念だが順番をつけるとしたら3番目だな。


次はきんきの刺身の感想です。

きんき、金目鯛とも上身にして甘塩をして30分おいたものを使用しています。両方とも皮目をバーナーで炙り、焼き霜としました。きんき、のど黒は特に皮が薄いのであぶるように皮目をあおっていきます。

その日、1日寝かせたもの、2日寝かせたものの3パターンを同様の魚で試してみました。

まずきんき一日目・・・

脂がのっているが、どこか淡白、旨味は微小で後味にほのかにくるか、といった程度。焼き霜にしてあるので一口目の香ばしさ、脂の旨みが特に印象に残った。もう少し寝かせると旨味が回るのか?といった印象。


きんき二日目・・・

1日寝かせると適度に身がしまっていたが、そこまで変わりはなかった。しかし、クセがほんとに少ない魚だな。

きんき3日目・・・

2日寝かせてみた。そろそろ旨味がこなれてくるやろ、そう思っていた。しかし淡白なまま、上品な脂、クセやにおいもない。口当たりも筋肉と言うか肉の層みたいなのがはっきりわかるぐらいかんだらその部分でほぐれ、身はしごくやわらか、後味はまったく残らない。

ここから推測できるのは、きんきなどは寝かせて旨味が出る魚ではないという事、上品すぎると言った方が良いかな。個人的には1日目のピュアな感じが一番良いと思いました。

今回はここまで次回は金目鯛の刺身の感想を・・・それでは!

2014年2月12日水曜日

きんき、のど黒、金目鯛 (2)

今回は食べてみての感想をのべていきたいと思います。

まずはのど黒から・・・



上は焼いている最中の画像、炭はうまめがしの備長炭を使用しています。

食べた感想を申し上げます。のど黒はまず上身にし薄塩をして、3時間おいたものをまず刺身でいただきました。(画像ないです、すいません)

刺身の仕方は皮目を切りかけ包丁1回入れ2回目で身を切り離します。これをバーナーで炙って焼き霜としました。炙り方は皮と身の間にあるゼラチンの層を熱で溶かすようなイメージで炙りました。

今回、刺身でいただいたものは五島列島のものと和歌山県の物、輪島ののど黒、通称「のと黒」は今回はしけ(漁が出れない事)の関係で手に入りませんでした。


まずは五島列島から食べてみる・・・最高やねー。

五島列島のものは脂の質が軽いため、食べやすく後味もしつこくなく良い。食感はすこぶるかるく、身は軽い、1日寝かせたものはこの点身がしまり、味はこなれてくる。炙ることで脂の旨みが口にいれた瞬間から伝わり香ばしさも加わることでの最初の一口目のインパクト!そりゃもう、てーへんな始末でございましたよ。

平目のような噛みしめるたびに伝わる旨味とは違う、最初の一口で度肝をぬく、そういった印象、身はすごく淡白、そして脂の純度が高いためか嫌な後味はない。スーッと口の中で溶けていくそんな感じ。

次は和歌山を食べてみる・・・おや?違うぞ。

味はのど黒、さっきとさほど変わらない、しかし脂の良さがまったく出ていない!そして食感、身のキメがあらくどこか粗野、これほど産地で違うものか、感想は淡白な魚を食べている感じ、さっきのやつと比べるとのど黒の良さがでていない。そう言う印象。

1年前までは魚の産地などあまり意識していなかったが、なるほど、ここまでちがうとは驚きをこして、目からうろこ状態。北陸の人は何かと近海物を自慢する、しかしこの海に囲まれた島国日本、瀬戸内海の複雑な海域で育っているさかな、川の河口があつまり栄養満点の海水で育っている魚、北の荒波にもまれるさかなたち、こう考えると同じ魚でも味は違って当たり前、そういうことになる、なにも近海ものを馬鹿にしているのではなく、近海で獲れるものよりおいしい魚はもっともっとある事を皆様にお伝えしたい。

話が長くなりすぎましたので、今回はこのへんで、次回は焼いた時の感想をお伝えします。

2014年2月10日月曜日

きんき、のど黒、金目鯛

今回はこの3種類を食べ比べてみましたので皆様に結果報告です。


こちらはのど黒、上が500g前後の長崎、五島列島でとれたもの、下が150g長崎の対馬でとれたものです。前評判では五島列島のものは脂のりが軽く、対馬のものは脂のりが重いと言う情報

この写真ではのっていませんが和歌山県産のものも食べ比べてみました。サイズは450g


上が金目鯛2kgサイズ、産地は高知、下はきんき、このあたりの人にはあまり聞きなれない名前の魚、北海道から東北のあたりで獲れる深海魚、関東では高級魚として有名、日本海側ではのど黒がいるためにあまり重宝がられてないがすこぶる旨い魚。サイズは600g、産地は宮城です。


ものさしとの比較、ちなみに30センチものさし、ご立派です。


正面からパシャり、かわいい顔をしております。目がきれいな魚です。

処理の仕方は3種類とも同様の作業を施しました、ちなみにこのさかな達は中央市場に届いたその日の物を対象にしています。なぜか?一般的に考えても死んだ生物は時間がたつと腐敗していきますよね、その腐敗は大体が内臓類から腐って好ましくない成分が放出されるのです、逆に身(肉)の方は熟成でも説明した通り、寝かせる(管理が必要)と旨味がましていく。

ですので、内臓類はできるだけ早く処理した方が良いとなるわけです。となると市場に届いてその日の朝一番に下処理(水洗いなど)を施すのが最良と言うわけです。

処理の仕方は、バラ引きでウロコをいかき、水洗いをし、三枚におろし上身にしておきます。上身とはそのままで食べれる身のこと、はらぼや骨まで抜いた状態の事を指しています。


こちらは金目鯛、金目鯛はサイズの小さいものも出回っていますが、おいしいのは1.2kg以上、今回のものは2kgサイズ脂がしっかりのっており、おろした時から旨そうな感じがしております。小さいものは脂の感じがまだまだと言った印象。


こちらはきんき、おろした時から身のテカリが半端じゃありません、下手するとポテチより脂がのっているんじゃないか?そういった印象をあたえてくれる魚、ポテンシャルがすごいですね、身の感じは白っぽいです。

のど黒は五島列島と和歌山のものだけおろしました。なるほどおろした感じからみて、五島列島のものは程よく脂がのっている感じ、和歌山のはうーん脂の感じがいまひとつ、そんな印象。

この上身にした3種類を薄塩にあて30分間おきます、薄塩をすることで身がしまり、味がこなれます。ちなみに脂が3種類とものっているのできもち強めに薄塩をあてました、脂が強いと塩がなかなかはいっていかないためです。

にじみ出てきた水分(魚から最初にでる水は、おいしさの点では好ましくない水です)を吸水シートでしっかりとり3時間程度おいて身を休ませました。

今回は説明が長くなったのでここまで、次回は食べた感想を皆様にご報告いたしますので、今回はこのへんで・・・

2014年1月23日木曜日

赤身魚の旨みを引き出す、あらたな可能性

今回は牛肉の赤身肉で行った血の酸味や鉄分を旨みに変える「藁でいぶる」と言う技法をしめ鯖で応用してみました。

しめ鯖は時間がたつとこなれてきて旨味はますのですが、酸味や血生臭さがたってきます。寿司屋などは酢飯と合わせることで特有の酸味や香りを酢飯と中和させるのですが、お造りで食べるとなると・・・

魚は寝かせることで旨味がますと前にご紹介しました、次にそれと並行して出てくる生臭さ、これをどうにかしたい。

余談ですが魚は〆る(殺す)時に血抜きをしてあげないと身に血が残ります。きれいに血抜きをして保存した魚は時間がたってもおいしくたべられるのですが、身に血がのこった魚は2日もたつとくさくなってしまします。

臭くなる原因は血にあるのでは?鯖の血合い(血)の部分に対してアプローチをかけると美味しくなるのではないか?

そこで前に紹介した藁でいぶるという技法が使えるのではないか?そう考えました。

炙りしめ鯖ならぬいぶりしめ鯖と言う感じです。

(作り方)

鯖はおろして、両面に塩をたっぷりすりつけ、1時間おきます。

塩を洗い流し、甘酢につけます(今回は米酢4、リンゴ酢1、水2、砂糖適量)

30分つけて、裏側にしてもう30分つけて酢からあげます。


これを2日間寝かせます。

皮をひいて骨を取り除きます。

藁を用意して藁缶にいれ、火をおこした炭を1ついれます。

白い煙があがってきたら、藁缶の上に網をおいてしめ鯖の身が下側になるようにおきます。(血に対してアプローチをしたいので)

ふたをして約20秒ほどいぶします。

取り出して切り出します、切り方は1、2、と半分ぐらい切込みをいれて3、で切り離します。八重造りと言うやつです。

身は厚めに切って噛みながら旨味を味わう的なイメージで。

醤油をつけていざ実食!

最初、燻香が口に広がりかみしめていくとしめ鯖、従来のしめ鯖は最後に血なまぐささが口に残るのですが、燻ったしめ鯖はそれがない!むしろ最後の後味がコクのある旨味で口に広がる感じ、嫌な感じもまったくない。

これは新しい可能性です。今回は鯖でしたが応用もできるはず、次はブリやマグロなどの赤身の魚でも試してみたいと思います。

それでは今回はこのへんで・・・


2014年1月17日金曜日

大うなぎの件

前回はカニの件まで説明しましたので、今回は大うなぎの件から説明していきたいと思います。

大うなぎは鳥取の中海でとれた、1.5キロのものを使用


うなぎは5日間寝かせてあります。寝かせるといってもピンとこない方もいると思われます、寝かすとは要は身(肉)を熟成させていると言う事。

一般的に食肉にされる、動物(牛や豚)や魚等、姿、形は違えど筋肉や骨といった構成物質は似たようなものです。そこで死んでからの変化(死後硬直や劣化)と言うのは個体によって差はあるものの大体が同じような変化の経路をたどります。

一般的に生物が死ぬと筋肉が弛緩します、そこから死後硬直がはじまり、死後硬直が終わると自己消化をおこしていき劣化につながっていきます。このサイクルはほぼすべてにあてはまります。

釣りたての魚やいけすから出してきたばかりの魚を〆て刺身にして食べたことがある方ならわかると思いますがあのブリッブリッな感じ、あれが死後硬直前の状態、食感は特別なものはありますが旨味はあまりない状態。

そこから体がピーンとはる死後硬直がはじまって、一定期間をへて、タンパク質が分解していく、
この時にうまみ成分が生成されたり、身がしだいに軟化していきます。しかしそれと比例して人間に害のある微生物が繁殖したり、食肉自体がもっている消化酵素などが作用して劣化にも進んでいきます。

要は腐る一歩手前、その紙一重のところが旨味を最大限に引き出すコツ。そのためには温度管理や湿度を徹底に管理する必要がありますので家庭では難しいですね。牛肉なんかは皆さんの口に入るまでに一カ月は寝かされて(熟成)いるんですよ。

話がだいぶそれてしまいました。今回はうなぎの件でしたね

うなぎは旨味を出すために寝かせています。その寝かしたうなぎを背開きで開きました。腹から開くとなぜか焼いたときに皮がはがれやすいと友人が嘆いておりました。

今回のうなぎは親方サイズ、これだけ大きいと食べた時に骨が口にあたってしまいますので、骨に対してなにか仕事をしなければなりません、骨に対する仕事といえば日本料理には骨切りという技法がある、しかし骨切りをすると骨はあたらなくなっても、焼いたときに切った断面からせっかくの脂が落ちてしまう。

ではどうするか?うなぎの骨は鱧などに比べるとCT値が低いことが判明、CT値とは骨の硬度の事、骨はあるけど硬くない、硬くはないけど口にはあたる。

そこでホームセンターに売っていたデザイン用の先のとがったはさみでうなぎの骨を細かく切って処理を施しました。そうすると口に骨がまったく感じずに食べられます。

処理を施したうなぎに串をうって、4分30秒間蒸していきます、蒸すのは皮にあるコラーゲンの層をゼラチン化させるのが目的です、魚の場合コラーゲンは65℃でゼラチン化してきます。ゼラチン化させる事で皮がバリッバリッのせんべいみたいに焼けます。

焼きはうまめがしの備長炭を使用、皮目からじっくり焼いていきます。イメージとしては人間の肌はコラーゲンがあると肌の張りが良い、保水されているそんな状態、コラーゲンがないと乾燥しやすい状態、うなぎも同じ、コラーゲンがあるとしっとり、ないとバリバリ。コラーゲンをゼラチン化させてそのゼラチンを焼き切るイメージ。そうするとせんべいみたいなバリバリ食感になります。

皮目を焼いたら身の方を焼いていきます。身は近火で、うなぎのもっている脂を落としきらないイメージ、香ばしさはタレを吹き付けながら出していきます。タレは4~5回吹き付けてテリをだし、仕上げに叩いた木の芽を表面につけ、完成!

いやー最高ですよ、はい。それではまた!

2014年1月6日月曜日

新年明けましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。

一、富士、二、鷹、三、なすび

初夢で縁起の良いものですね。

私どもの縁起の良いものは普通とちょっと趣向が違いまして・・・

一、蟹、二、ぶり、三、ウナギ

ってなもんで・・・笑

新年からめでてえものです。

年末に知人の一人(ミシュラン2ツ星で勤務中)が神戸から帰省いたしまして、皆で料理を楽しんでおりました。

その知人が持ってきてくれた食材が


蟹の質、漁獲量共に日本一と呼ばれる兵庫県の日本海側に面している浜坂漁港の順風丸でとれた松葉がに(1200gの怪物クラス)と


鳥取の中海、その河口でとれた1.5キロの天然の大ウナギです。


5日程寝かして旨みを引き出してある状態のものです。

私どもが用意したものはこいつです


七尾港でとれた15キロの能登ブリです!ブリは日本海側でも内海が良く、七尾から氷見辺りのブリがまさしく日本一の味です。

これらを私どもで調理いたしました。

まず松葉がには刺身、焼き、蒸し。

刺身は昆布出汁でさっと湯どうしし氷水に落とします、生の状態よりカニの旨みが強く感じられ食感もプリっとカニの繊維一本一本の存在感が立っています。甲殻類などは火をさっと通してあげると中の旨みが引き出されます。

醤油を先にちょんとつけて召し上がりました。


焼きは殻側にしっかり火を入れて、表面は炙るだけ、火はギリギリで入っているけど中はしっとりしている感じ、それを追求しました。


馬目樫の備長炭です、備長炭は無臭なのが特徴なのです。

そして蒸しガニ、これが美味かった!写真はないのですが・・・すいやせん

蒸したカニの身をすべてせせり、これまた蒸したカニ味噌と合わせて、カニ酢を混ぜていただきました。かに酢は普通に飲むと甘っ!と言うぐらい甘いもので、どうなのと言う感じ、

食べてみると・・・どーなの!!

うんまっ!

甘いのが良い、カニ味噌と合わさってすごくクリーミー、口の中が幸せで包まれました。

最後はカニの甲羅、殻を炙ったものを使っての甲羅酒、甲羅酒にする酒は大吟醸、大吟醸と言いましても燗をするために作られた、温めることで完成する大吟醸、「九頭竜」(福井県の黒龍酒造)を使用しました。


さてさて、これも旨い、旨すぎる・・・濃厚なカニのポタージュを飲んでるかのよう、しかも最初に酒がすっと鼻を通って後味カニ!とにかくすごい!

長々と文が続いたので今回はここまで、これの続きはまた今度ということでどうか一つお願いします。それでは!

2013年12月25日水曜日

金沢の郷土料理「鯛の唐蒸し」

皆さん鯛の唐蒸しってご存知ですかね?

石川県以外の方にはあまり馴染みがない料理だと思います、まぁ石川県の人でも知ってる人は少ないかもしれませんね。

説明いたしますと、金沢の郷土料理の一つで、鯛の腹におからを詰めて大皿に並べたもので、婚礼に際して供されるおめでたい料理なんです。めでたい鯛の中に子宝に恵まれるようにと、銀杏や麻の実、百合根、人参、蓮根などの縁起の良い食材を入れて作った卯の花(おから)を詰めた料理のことです。

金沢でも一部の料亭さんでしか作ってないんじゃないかなと思います。

その鯛の唐蒸しを作る機会があったので、せっかくなので作業風景をご紹介したいと思います。

唐蒸し等のお祝いの料理はまず見た目でお客さんを楽しませる必要がありますので、素材にはとびきりな物をご用意しました。


50cmアップの立派な鯛、能登の知り合いが朝上がったばかりも物を届けてくれました。目がまだ輝いていますよ。

唐蒸し用の鯛は水洗いの仕方が異なるので説明いたします、普通水洗いは腹を開いて内蔵等を取り除くのですが、武家社会の発達してきた金沢では、腹を切る=切腹に結びつくので、姿で使う鯛は背開きで包丁を入れていきます。

ウロコ、エラをきれいに取り除いて、頭を左、背を手前にして、三枚おろしの要領で頭のヒレからヒレの付け根までの間をおろしていきます、腹のところまできたら切るのをやめ、背中から手を突っ込み内蔵を取り除きます。

きれいに水洗いをし、水気をきれいに拭き取ります。

皮目に細かく串で無数の穴を開けます、これは蒸した時に鯛が膨張して皮が破れる恐れがあるので、革に傷をつけておくことで皮に伸縮性が生まれ破れにくくするためです。そして塩をあてます。ここでの塩は主に臭み取りと下味をつけるためです。

次におからを作っていきます。おからはまず小鯛と昆布で出汁をとります、そのとった出汁でおからを煮含めていくことで鯛の旨みが効いたおからに仕上げていきます。


出汁の取り方は昆布の旨みがもっとも出る60℃で一時間、煮出したあとは昆布を取り出し沸騰状態にして、そこから鯛のエキスを20分間煮出しました。

とった出汁に薄口醤油、砂糖、味醂で味を整えたものにおからを投入し煮含めていきます。ある程度水気がなくなってきたらおからの具材を入れていきます。おからは仕上げに太白胡麻油を加えるとしっとりと仕上がり、艶よく口当たりも良くなります。

鯛とおからの準備が整ったら、鯛におからを詰めていきます。詰めすぎると皮が破れてしまうので注意が必要です。おからを詰めたらヒレの部分を立たせて爪楊枝で固定してあげると、仕上がりが良くなります。

蒸し器に入れ、約1時間程蒸すと完成です。仕上げに下に松の枝を敷いてあげると見栄えよくなりますし縁起もいいです。


おから詰めすぎて結局皮が破れてしまいました・・・

もし作られる方がいたら皮には気をつけた方がいいです、この料理は見た目のインパクトが重要です。私の失敗をどうか役立ててください!笑

それでは今日はこの辺で・・・

2013年12月17日火曜日

石川県産の地鶏「能登地鶏」を発見!

石川県には地鶏はいないと思っていました。肉を専門に扱っている業者に問い合わせてみても「石
川県には地鶏はいない」と言う返答ですので、正直諦めていました。

石川県で唯一鶏の生産・販売を行っている河内物産さんのブランド「健康鶏」は結局はブロイラー
なので、地鶏にあるような、肉の旨みとか脂の感じ、脂の間にあるゼラチン質の層、そして香りが物足りないなと思っていました。

そんな時、日本の銘柄鶏の一覧が見れるサイトを何気なく眺めていました。

「おっ!あれ!?」

って最初は思いました。

「能登地鶏・・・?石川には地鶏いないはずじゃ・・・」

よくよく読んでみると、石川県の能登町にある小さな養鶏所さんで作っていることが判明!しかもサイトもある「能登鳥の里」すぐにクリック!

なるほど、月に少量ではありますが出荷もしている正真正銘の地鶏であることが判明!

速攻電話です。

電話対応も良くもも肉1キロ分即購入しました。

しかし、なぜ業者の人は知らないのだろうかと言う疑問はさておいて、届いたもも肉を早速調理してみました。

調理方法は和歌山から取り寄せた紀州備長炭の細丸での炭火焼きです、細い方が突発的な熱源のパワーがあるのです。なぜ違うかはまたの機会に発表します。調味料は塩のみ、今回はアルプスの岩塩を使用しました。


素材が良ければ良いほど、料理は攻めです!塩も攻めます!良い素材の場合、塩辛いかなと思う手前でもしっかり素材の風味が残る、素材が負けないんです。

焼き方にもこだわります、今回は身の部分と皮の部分を別々のアプローチで火を入れていきたいと
思います。


まずはもも肉を常温に戻します。これは肉の芯温度をあげることで均等に火を入れるためです。そして皮目に細かく傷をつけます。細かく傷をつける事によって、焼いたときに皮と身の間のゼラチンの層が表面に溶け出し、その溶け出したゼラチン質で皮を揚げ焼きすることによって皮目の仕上がりが煎餅みたいにサクサクになるのです。

色々な食材で試した結果、鰻は一度蒸してから焼くと良いのに対し、地鶏は地焼きが一番良いです。

火の入れ方はまず身側から、身側は余熱を利用し中までじっくりと火を通していきます。肉汁が外に逃げ出さないようなギリギリの火の入れ方でアプローチをかけます。フレンチでよく使われる、火を短時間入れては肉を休ませる、また入れては休ませるを繰り返し、肉にストレスを与えることなく中まで火を通していきます。



一般的にある最初強火で表面を焼き固めて肉汁を閉じ込めるやり方はドリップが防げないと言う研究結果が既に実証されています。あれでは急激にタンパク質が固まるので肉の中にあるジュース(肉汁)が外に押し出されてしまうのです。




皮目バリッバリッに焼けました、やはり炭火は香りがいいですね。

あっ!ちなみに焼き魚や肉に火が通りやすいと言う理由で切れ込みを入れる料理人がいますが、あれはドリップの作用を促すだけなので関心しません。時間をかけてゆっくり火を入れたほうが美味しいのにもったいない。

では実食・・・

美味いです!地鶏らしい肉の旨みがあり皮も旨い、皮はホントに煎餅みたいにサクサクして新食感!多少肉の繊維が強いかなと言う印象、でも石川県にも地鶏があると証明してくれる味でした。

少し気になったのは肉質がしっかりしていて筋っぽいので皮と身のバランスが悪いこと、なので身の部分を1.5センチぐらい削いで美味しいバランスにして食べてみると・・・


ベストマッチ!!大正解でした!!

石川発の地鶏「能登地鶏」!いやー良かったです!


2013年12月10日火曜日

作業ではなく本質を捉えること

今回は今やっていることが作業なのか本質を捉えている=料理をしているのか?という話です。

それを日本人に馴染みのある寿司を例題に考えていきたいと思います。

ミシュランで3ツ星をとっている数寄屋橋次郎の主人小野次郎曰く

「酢飯(シャリ)が美味しければ、ネタが普通でも美味しくいただける」

だそうです。寿司を握り続けて50年の職人がそう言っております、私自身もシャリの重要性を実感している一人です。

なるほど、シャリが美味しいと寿司が美味しい、ではうまいシャリとは?

ここからが本題です。

シャリは人肌程度の温度が美味しいとされています。

しかし、それは単に温度だけの問題なのでしょうか?シャリを人肌程度の温度までもっていけばいいだけなのでしょうか?

数寄屋橋次郎さんのホームページでその答えなる面白い文が載っていたので私なりに説明いたしますと

数寄屋橋次郎ではお客様に最高の状態の寿司を食べてもらうために酢飯にこだわり、お客様の来店30分前にご飯を炊き上げるようにしているそうです。

米を研いで鉄の羽釜で炊き上がるまで約60分。炊き上がったご飯に酢を回して冷まし、シャリ鉢に移し、わらびつに入れ保温します。30分くらいすると、ご飯が酢を吸い込み、ひと粒ひと粒の硬さがちょうど良くなり、食べて一番旨い時になるます。この温度が人肌と言うことです。

なるほどですよね!

つまり人肌にしているのではなく、結果として人肌が美味しいと言うことです。

いつもやっている些細なことでもその仕事の奥にある本質を理解するかしないかが、出来る人かそうでないかを分ける事になりそうですね。

まとめると人肌の温度にシャリをもっていく、それ自体はただの作業です、ただ型にはまっただけのつまらないものです。それが相手に美味しいものを食べせてあげたいという思いで、炊きたてのご飯を炊き、酢を回し、少しなじませて最高の酢飯を作った、そのタイミングがちょうど人肌の温度と一緒だった、という事になりますと、同じ人肌の温度のシャリでも天と地ほどの差が表れてくると思います。

さて、皆さんはどう思われますでしょうか?それでは。。。