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2014年8月13日水曜日

なぜ?魚を熟成させるのか?考察してみました。

皆さんこんにちは、今回はちょっと難しい話、専門的な話になるので分からない方はサクッと読み進めて下さい。なるべく分かりやすいように文章を書く努力はしますので、ご了承下さいませ!

それでは今回は魚の熟成について、そもそも熟成の目的とは?

1、魚の旨みを引き出す
2、風味や食感を変化させる

簡単に言えばこれが目的です。熟成には適切な温度管理が必要不可欠です、温度管理を誤ると微生物の影響で熟成ではなく腐敗(食べられない状態)に変わっていきます。

ミシュラン獲得店等でも魚を熟成させ、魚をもっともおいしい状態に近づけてから提供することを心がけていると思います。料理はなんといっても味が大事ですからね。

これから熟成のメカニズムをお話します。

魚には様々なエキス成分が含まれ、これが独特の美味しさに関与しています。分かりやすいので言えばアミノ酸のグルタミン酸(昆布に多く含まれる旨味成分)や核酸関連化合物のイノシン酸(かつお節に多く含まれる旨味成分)等のエキス成分です。これらのエキス成分の組み合わせ方で様々な魚の味に微妙な相違が生まれる訳です。

味は違うのですがエキス成分自体は若干の違いはあるものの、ほぼ共通していると言うこと、組み合わせが違うだけで根本の構造は同じと考えられますね、ただ魚種で違いがあるだけ。

共通しているのが、魚の筋肉の高エネルギー物質ATP(アデノシン3リン酸)の分解生成物であるイノシン酸が旨み成分として特に重要な働きをすると言うこと。

なので、イノシン酸をどう引き出すかが魚の美味しさのポイントになってきます。

その美味しさを引き出す工程が熟成なのです。

お魚さんは生きている時は筋肉にATPを多く含んでいますが、死んでしまうとATP(アデノシン3リン酸)が減少していき、ADP(アデノシン2リン酸)→AMP(アデノシン1リン酸)→IMP(イノシン酸)→HxR(イノシン)→Hx(ヒポキサンチン)の順に分解を始めていきます。

この過程でIMP(イノシン酸)が蓄積していくと美味しくなるわけです。

IMP(イノシン酸)は魚の死後しばらくしてから増加を始めるため、死んだ直後の魚より少し時間をおいた方が魚は美味しいという事になります。なので居酒屋とかにある生簀からそのまま出してすぐ刺身にするやり方は新鮮なので美味しそうに見えますが、旨みの点から言えば少し冷蔵庫で寝かせたほうが旨いという事になります。

光琳選書「食品と熟成」と言う本を抜粋しますと

「IMPが最大値に達する死後の氷蔵時間は、カツオで約1日、ヒラメで約2日、ブリで約4時間、キハダマグロで約8日である」

と書かれていますので、それだけ熟成の時間が必要と言うことになりますね。

ただ単に時間をおけば良いと言うわけでもありません、魚種により差はありますが脂質の酸化や臭気成分の生成などの劣化現象も同時に進行しているためその見極めが重要になってきます。

そして、IMPも最大値までいくと後は減少を始めてしまい美味しさがなくなっていきます。どうにかして減少を食い止めるまでは出来ないけど遅らせることは出来ないものか?

そこで重要になってくるのが魚の致死条件や保存方法なのです。

簡単に説明しますと、いかに魚にストレスを与えずに殺すか、と言う事がIMPの最大値からの減少スピードに関係してきます。

一般的に売られてる魚は野締め(水揚げされ何も処理を施されないまま苦悶死すること)のものが多く、この死に方ではIMPの減少を止める事が出来ません。活締めと呼ばれる生きたまま延髄部分を締める方法は苦しまずに一気に死ねるので苦しみながら死ぬよりかは魚にストレスを与える事なく処理出きます。一番良いやり方は神経締めと呼ばれるもので、脳からの信号を伝える脊髄部分を破壊するので、死んでいるのに魚は死んだと言う信号が届かないから死んだことすら気づかない、いわゆるノンストレスで殺す事が出来る方法です。

保存方法は身が凍らないギリギリの温度が好ましく、0度に近い方がより長くIMPの減少を抑えることが出来ます。やり方はいたって簡単で魚の回りに氷をガチガチに入れ冷蔵庫に保存すれば0度に近い温度で凍ることなく保存することが出来ます。

ここまでの総論は魚は死んだ直後より、時間が経過したものの方が旨みが引き出されると言うこと、そして神経締めして0度で近い温度で保存した方が旨みが減少しにくいと言うことですね。

しかし魚は旨みだけが美味しさのすべてじゃないんですよね・・・

今回は長くなったのでこの辺で、次回は熟成による風味や色味、食感などの変化を通して最終的な美味しさを考えていきたいと思います。

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それでは今回はこの辺、でお疲れ様です。

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