協力

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2014年1月17日金曜日

大うなぎの件

前回はカニの件まで説明しましたので、今回は大うなぎの件から説明していきたいと思います。

大うなぎは鳥取の中海でとれた、1.5キロのものを使用


うなぎは5日間寝かせてあります。寝かせるといってもピンとこない方もいると思われます、寝かすとは要は身(肉)を熟成させていると言う事。

一般的に食肉にされる、動物(牛や豚)や魚等、姿、形は違えど筋肉や骨といった構成物質は似たようなものです。そこで死んでからの変化(死後硬直や劣化)と言うのは個体によって差はあるものの大体が同じような変化の経路をたどります。

一般的に生物が死ぬと筋肉が弛緩します、そこから死後硬直がはじまり、死後硬直が終わると自己消化をおこしていき劣化につながっていきます。このサイクルはほぼすべてにあてはまります。

釣りたての魚やいけすから出してきたばかりの魚を〆て刺身にして食べたことがある方ならわかると思いますがあのブリッブリッな感じ、あれが死後硬直前の状態、食感は特別なものはありますが旨味はあまりない状態。

そこから体がピーンとはる死後硬直がはじまって、一定期間をへて、タンパク質が分解していく、
この時にうまみ成分が生成されたり、身がしだいに軟化していきます。しかしそれと比例して人間に害のある微生物が繁殖したり、食肉自体がもっている消化酵素などが作用して劣化にも進んでいきます。

要は腐る一歩手前、その紙一重のところが旨味を最大限に引き出すコツ。そのためには温度管理や湿度を徹底に管理する必要がありますので家庭では難しいですね。牛肉なんかは皆さんの口に入るまでに一カ月は寝かされて(熟成)いるんですよ。

話がだいぶそれてしまいました。今回はうなぎの件でしたね

うなぎは旨味を出すために寝かせています。その寝かしたうなぎを背開きで開きました。腹から開くとなぜか焼いたときに皮がはがれやすいと友人が嘆いておりました。

今回のうなぎは親方サイズ、これだけ大きいと食べた時に骨が口にあたってしまいますので、骨に対してなにか仕事をしなければなりません、骨に対する仕事といえば日本料理には骨切りという技法がある、しかし骨切りをすると骨はあたらなくなっても、焼いたときに切った断面からせっかくの脂が落ちてしまう。

ではどうするか?うなぎの骨は鱧などに比べるとCT値が低いことが判明、CT値とは骨の硬度の事、骨はあるけど硬くない、硬くはないけど口にはあたる。

そこでホームセンターに売っていたデザイン用の先のとがったはさみでうなぎの骨を細かく切って処理を施しました。そうすると口に骨がまったく感じずに食べられます。

処理を施したうなぎに串をうって、4分30秒間蒸していきます、蒸すのは皮にあるコラーゲンの層をゼラチン化させるのが目的です、魚の場合コラーゲンは65℃でゼラチン化してきます。ゼラチン化させる事で皮がバリッバリッのせんべいみたいに焼けます。

焼きはうまめがしの備長炭を使用、皮目からじっくり焼いていきます。イメージとしては人間の肌はコラーゲンがあると肌の張りが良い、保水されているそんな状態、コラーゲンがないと乾燥しやすい状態、うなぎも同じ、コラーゲンがあるとしっとり、ないとバリバリ。コラーゲンをゼラチン化させてそのゼラチンを焼き切るイメージ。そうするとせんべいみたいなバリバリ食感になります。

皮目を焼いたら身の方を焼いていきます。身は近火で、うなぎのもっている脂を落としきらないイメージ、香ばしさはタレを吹き付けながら出していきます。タレは4~5回吹き付けてテリをだし、仕上げに叩いた木の芽を表面につけ、完成!

いやー最高ですよ、はい。それではまた!

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