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2014年2月25日火曜日

きんき、のど黒、金目鯛 (4)

今回は金目鯛の刺身の件から感想を述べていきます。

金目鯛は高知の2キロオーバーのものを使用しています。こちらもきんき同様、バーナーで炙って焼き霜としました。きんきは脂がのっていて淡白なのですが、金目鯛は脂がのっていて旨い。そう感じました。


一口目のインパクトもガツーン!ときますし、食べ進めていて身の旨さもちゃんと口に広がっていく、ここがきんきと違うポイントです。なお臭みも嫌な後味もなく最高。

二日目、三日目と食べすすんでみても、寝かせることでの味の変化は少ないように思えました、ただ寝かせることで身の中の脂が落ち着いてきたかな、と言った印象です。きんきもこの点味の変化が少なかった、このことからきんきやのど黒、金目鯛というのは、寝かせることで身の旨さを楽しむものでなく、その魚がかかえている出汁のような水分や、上質な油分、そして身の繊細な感じ、そういったものを楽しむ魚なのかもしれない。

お次は焼き物の場合。



焼き物はのど黒、きんきと違い、皮がそこそこ強かったため、皮、脂、身の良さを味わえる旨いものでした。魚の焼き物で皮は非常に重要な旨さのポイント、しっかり焼き切ってあげると、香り、食感のアクセントが口を楽しくしてくれます。


金目鯛は旨い、旨すぎるといった感想、旨すぎるものは大味につながりやすいが、この金目鯛は嫌なところがまったくもってない。最高の魚だと思っていた。しかし友人(神戸ミシュラン2つ星獲得店勤務)いわく、高知の金目鯛は旨いのだけれど、千葉で獲れる金目鯛は、高知のものに比べ脂の質が上品で、より上等のものらしい。

この話をきいた時魯山人の話を思い出した。


魯山人曰く「食べて旨すぎるものは一等品にはなりえない」と言うことをどこかの著書でかかれていました。

なるほど、高知のはたしかに旨い、旨すぎた、この旨すぎるというのにも限度があるものなのか?まだ千葉のものは試せていないので、機会さえあれば是非食べ比べてみたいと思っています。

上の画像は皮目をバーナーで炙ったものを煮つけたものです、従来の煮付けに香ばしさを足してみました。味は濃い目の甘辛い味付けで・・・やはり煮付けにする場合は魚のアラの部分(骨や皮)がなければ旨みが乏しいなと感じました。これはこれでうまいのですが最高とまではいかなかった。

それでは今回はこのへんでおいとまさせてもらいます。

2014年2月19日水曜日

「みかんブリ」と「リモネン」の関係性

北陸の人たちにはなじみが深い魚「ブリ」、天然ものは10キロオーバーからブリと言います、それ以下はガンド、フクラギ、コゾクラ、モジャコと言われる。でかくなるにつれて呼び名がかわるのを出世魚といいます。



これは能登島でとれた12キロオーバーのブリ、昨年の正月に買ったものです。脂がのって旨いのはブリの中でも12キロオーバーのもの、脂の量、質ともに最高クラス、それ以下には興味がありません。

ブリに限らずどんな魚にも言えることですが、天然に勝るものなし、近頃は養殖のブリが多くでまわっていますが、嫌に脂が多量にあってしつこく、脂の質から言えば天然ものに比べ一段も二段も下がるそういった印象です。

なぜこんなに脂があるかといいますと、養殖の際のエサが原因になっているためです。養殖ものの大半はイワシをエサに育てています、イワシは脂を多く含んだ魚、しかも養殖場という快適な環境で何の競争もなくエサにありつける。言うなればただの肥満体のブリなのです。

しかし最近では養殖技術も進歩しエサを独自にやった養殖のブランドブリがいます。


それが今回の「みかんブリ」です。

みかんの味がするブリ?と思われる方もいるかもしれませんが、ご安心をエサがイワシでなくみかんと言うだけで、味はブリそのものです。

なぜエサにみかんをあげるのかと言うと、みかんの皮に含まれるある成分の効果を期待してのものです。その成分というのが「リモネン」なのです。


このリモネンと言うのはにおいを消すのにすごく効果的な成分なのです。おもにかんきつ類の皮に多く含まれています。

このリモネンをブリに加える(食べさせる)ことで中からにおいを改善しよう、そういった狙いがあるためです。

このリモネン、かんきつ類ではオレンジの皮に多く含まれ、その次にライム、ゆずと続きます。この成分は皮に多く含まれ、身の方にはあまり含まれてませんので注意してください。

このリモネンを上手く活用できれば、ブリだけではなく、アジやサバなどのほかの青魚でも応用ができると思います。


これはまだ可能性の話なので研究して結果がでましたら皆様にご報告いたします。

これとは別の話なのですが、青魚独特の臭みは血から出てくるもの、ですので活魚の状態から上手く血抜きさえ行えれば、そもそもいいのではないか。とも思っています。

まぁあくまで可能性の話です。もし生きた青魚が手に入ってみたなら試したいと思います。

それでは今回はこのへんで・・・

2014年2月17日月曜日

きんき、のど黒、金目鯛 (3)

今回も前回の続きからです。

のど黒を焼いたみた感想を述べていきたいと思います。

まずは五島列島のもの・・・


注、この写真のものは対馬のものです。

脂の質が軽く、いやな感じがまったくない、焼き物にすると最高クラスに旨い。食感は中の水分(ジュース)がえらいことに、噛んだ瞬間じゅわーと言う感じ。すごいポテンシャルだな。今回は上身に直接塩をふった、塩は少々きつめにうった、経験談だが素材が良いものは塩をきつめに攻めた方が旨い、素材の持ち味が塩に負けないためだと思われむしろ旨さを引き出してくれる。

今回もその例にもれずきつめにうったつもりだったのだが、塩があまりのらなかった、というよりは身の脂がすごすぎて塩がはいっていかなかったと言う感じ、このことから基本的に脂がのった魚は中まで塩がまわっていかない事がわかった。

脂がのった魚は塩をうって、一夜干しにした方が中まで塩がまわり適度に水分もぬけ旨みが凝縮されそうだなと言う感じ。まだ試してないのでなんとも言えないが日本の干物文化はあなどれません。


次は対馬のもの、対馬のものは五島列島にくらべると、脂はにおいはないが、しつこい感じをうけた。こちらも塩を強めにふったが中まではいっていかなかった。五島列島のものの方が上品で良いと思われる。ここで発見したのはのど黒は骨まで旨いという事、食べ終わった骨を炭火でカリカリにやいて醤油をたらして骨せんべいにして食べてみた、意外や意外、なかなかに旨いものであった。

最後に和歌山のもの、これは脂ノリが弱く、身のキメもあらい、のど黒の良さがあまり感じない。残念だが順番をつけるとしたら3番目だな。


次はきんきの刺身の感想です。

きんき、金目鯛とも上身にして甘塩をして30分おいたものを使用しています。両方とも皮目をバーナーで炙り、焼き霜としました。きんき、のど黒は特に皮が薄いのであぶるように皮目をあおっていきます。

その日、1日寝かせたもの、2日寝かせたものの3パターンを同様の魚で試してみました。

まずきんき一日目・・・

脂がのっているが、どこか淡白、旨味は微小で後味にほのかにくるか、といった程度。焼き霜にしてあるので一口目の香ばしさ、脂の旨みが特に印象に残った。もう少し寝かせると旨味が回るのか?といった印象。


きんき二日目・・・

1日寝かせると適度に身がしまっていたが、そこまで変わりはなかった。しかし、クセがほんとに少ない魚だな。

きんき3日目・・・

2日寝かせてみた。そろそろ旨味がこなれてくるやろ、そう思っていた。しかし淡白なまま、上品な脂、クセやにおいもない。口当たりも筋肉と言うか肉の層みたいなのがはっきりわかるぐらいかんだらその部分でほぐれ、身はしごくやわらか、後味はまったく残らない。

ここから推測できるのは、きんきなどは寝かせて旨味が出る魚ではないという事、上品すぎると言った方が良いかな。個人的には1日目のピュアな感じが一番良いと思いました。

今回はここまで次回は金目鯛の刺身の感想を・・・それでは!

2014年2月12日水曜日

きんき、のど黒、金目鯛 (2)

今回は食べてみての感想をのべていきたいと思います。

まずはのど黒から・・・



上は焼いている最中の画像、炭はうまめがしの備長炭を使用しています。

食べた感想を申し上げます。のど黒はまず上身にし薄塩をして、3時間おいたものをまず刺身でいただきました。(画像ないです、すいません)

刺身の仕方は皮目を切りかけ包丁1回入れ2回目で身を切り離します。これをバーナーで炙って焼き霜としました。炙り方は皮と身の間にあるゼラチンの層を熱で溶かすようなイメージで炙りました。

今回、刺身でいただいたものは五島列島のものと和歌山県の物、輪島ののど黒、通称「のと黒」は今回はしけ(漁が出れない事)の関係で手に入りませんでした。


まずは五島列島から食べてみる・・・最高やねー。

五島列島のものは脂の質が軽いため、食べやすく後味もしつこくなく良い。食感はすこぶるかるく、身は軽い、1日寝かせたものはこの点身がしまり、味はこなれてくる。炙ることで脂の旨みが口にいれた瞬間から伝わり香ばしさも加わることでの最初の一口目のインパクト!そりゃもう、てーへんな始末でございましたよ。

平目のような噛みしめるたびに伝わる旨味とは違う、最初の一口で度肝をぬく、そういった印象、身はすごく淡白、そして脂の純度が高いためか嫌な後味はない。スーッと口の中で溶けていくそんな感じ。

次は和歌山を食べてみる・・・おや?違うぞ。

味はのど黒、さっきとさほど変わらない、しかし脂の良さがまったく出ていない!そして食感、身のキメがあらくどこか粗野、これほど産地で違うものか、感想は淡白な魚を食べている感じ、さっきのやつと比べるとのど黒の良さがでていない。そう言う印象。

1年前までは魚の産地などあまり意識していなかったが、なるほど、ここまでちがうとは驚きをこして、目からうろこ状態。北陸の人は何かと近海物を自慢する、しかしこの海に囲まれた島国日本、瀬戸内海の複雑な海域で育っているさかな、川の河口があつまり栄養満点の海水で育っている魚、北の荒波にもまれるさかなたち、こう考えると同じ魚でも味は違って当たり前、そういうことになる、なにも近海ものを馬鹿にしているのではなく、近海で獲れるものよりおいしい魚はもっともっとある事を皆様にお伝えしたい。

話が長くなりすぎましたので、今回はこのへんで、次回は焼いた時の感想をお伝えします。

2014年2月10日月曜日

きんき、のど黒、金目鯛

今回はこの3種類を食べ比べてみましたので皆様に結果報告です。


こちらはのど黒、上が500g前後の長崎、五島列島でとれたもの、下が150g長崎の対馬でとれたものです。前評判では五島列島のものは脂のりが軽く、対馬のものは脂のりが重いと言う情報

この写真ではのっていませんが和歌山県産のものも食べ比べてみました。サイズは450g


上が金目鯛2kgサイズ、産地は高知、下はきんき、このあたりの人にはあまり聞きなれない名前の魚、北海道から東北のあたりで獲れる深海魚、関東では高級魚として有名、日本海側ではのど黒がいるためにあまり重宝がられてないがすこぶる旨い魚。サイズは600g、産地は宮城です。


ものさしとの比較、ちなみに30センチものさし、ご立派です。


正面からパシャり、かわいい顔をしております。目がきれいな魚です。

処理の仕方は3種類とも同様の作業を施しました、ちなみにこのさかな達は中央市場に届いたその日の物を対象にしています。なぜか?一般的に考えても死んだ生物は時間がたつと腐敗していきますよね、その腐敗は大体が内臓類から腐って好ましくない成分が放出されるのです、逆に身(肉)の方は熟成でも説明した通り、寝かせる(管理が必要)と旨味がましていく。

ですので、内臓類はできるだけ早く処理した方が良いとなるわけです。となると市場に届いてその日の朝一番に下処理(水洗いなど)を施すのが最良と言うわけです。

処理の仕方は、バラ引きでウロコをいかき、水洗いをし、三枚におろし上身にしておきます。上身とはそのままで食べれる身のこと、はらぼや骨まで抜いた状態の事を指しています。


こちらは金目鯛、金目鯛はサイズの小さいものも出回っていますが、おいしいのは1.2kg以上、今回のものは2kgサイズ脂がしっかりのっており、おろした時から旨そうな感じがしております。小さいものは脂の感じがまだまだと言った印象。


こちらはきんき、おろした時から身のテカリが半端じゃありません、下手するとポテチより脂がのっているんじゃないか?そういった印象をあたえてくれる魚、ポテンシャルがすごいですね、身の感じは白っぽいです。

のど黒は五島列島と和歌山のものだけおろしました。なるほどおろした感じからみて、五島列島のものは程よく脂がのっている感じ、和歌山のはうーん脂の感じがいまひとつ、そんな印象。

この上身にした3種類を薄塩にあて30分間おきます、薄塩をすることで身がしまり、味がこなれます。ちなみに脂が3種類とものっているのできもち強めに薄塩をあてました、脂が強いと塩がなかなかはいっていかないためです。

にじみ出てきた水分(魚から最初にでる水は、おいしさの点では好ましくない水です)を吸水シートでしっかりとり3時間程度おいて身を休ませました。

今回は説明が長くなったのでここまで、次回は食べた感想を皆様にご報告いたしますので、今回はこのへんで・・・